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先進的な取組み

【インタビュー】ヴァージニア南北戦争博物館の取組み

ヴァージニア南北戦争博物館の取組み
ヴァージニア南北戦争博物館はヴァージニア士官学校が運営する施設で、南北戦争時に若き士官候補生部隊が戦闘に駆り出された“ニューマーケットの戦い”の地にある。博物館は南北戦争関連の資料を中心に展示しており、戦場跡地では歴史再現イベントが開催される。また、戦争時に病院として利用された、小麦農場経営家族の住居“Bushong Farm House”の見学で当時を偲ぶことができる。
ヴァージニア博物館
ヴァージニア博物館
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“The Reenactment”南北戦争再現イベントを定例的に開催

“reenactment”とは“再現”の意味だが、アメリカでとりわけ歴史愛好家は“南北戦争再現イベント”のことを言う。ヴァージニア博物館のリナクトメントは、米国で最も長く継続的に実施されてきたものの一つであり、1914年5月に開始され、1923年9月にはヴァージニア士官候補生と米国海兵隊により実施された。例年5月に開催、2020年は5月16日~17日に156回目の実施を予定している。米国各地そして時に海外からも参加するリナクターが、士官候補生と共に生きた歴史家として1864年ニューマーケットの戦いを再現し、多くの見学者も来訪する。

博物館長であるヴァージニア士官学校中佐のマーシャル氏から話を聞いた。
ヴァージニア博物館
ヴァージニア博物館
- アメリカでは多くのリナクトメントがあります。こちらの特徴や他との違いについてお聞かせください。
特徴的なところが2つあります。1つは、ニューマーケットの戦いのオリジナルの場所で実施していることです。有名なゲッティズバークでも法律による規制からそうではありません。ヴァ―ジニア州のシダークリークとニューマーケットだけが実際の戦地でのイベントです。この地で1864年5月15日にヴァージニア士官学校の士官候補生部隊が南軍と共に戦いました。最年少15歳の士官候補生達が名誉の戦死を遂げたのです。その歴史からイベント参加者には士官学校から候補生や関係者が多く、実は私自身も例年参加しています。

2つ目はセールスプロモーションの効果です。イベントによる収入は、通常の博物館入場料金(大人10ドル)に追加料金10ドルとして、全て施設維持管理等に使われています。来訪者は出店される臨時模擬店では昼食やショッピングを楽しむことができます。
リナクトメントは実際の戦場を会場である300エーカーの戦場公園で行われます。その様子はYouTubeでも見ることもできます。“battle of new market reenactment” と検索すれば過去の画像が見られるのでその雰囲気が判ると思います。
- リナクトメントの告知と募集展開についてお聞かせください。
募集は、ホームページで告知、申込を受けるスタイルとしています。ソーシャルメディア、新聞等でも告知展開しますが、一番効果が大きいのは口コミ、参加者については実際にはリピーターが多いですね。家族が複数の世代で参加するなど、家族イベント的に参加する人たちも多いです。例年、リナクター約1,500名、見学者約2,000名規模になります。
やはり地元ヴァージニア州からの参加者が一番多いです。他州からの方も多く、海外からも仏、独、アジアでも韓国、中国から来た例もありました。南北戦争リナクトメントは米だけでなく、ドイツ、ベルギー、フランス等の欧州にもコアなファンがいると聞きます。

Living Historyによる歴史教育

- 他のLiving Historyプログラムについてはいかがですか?
リナクトメントは教育的な話ではなく、好きな人が集まるイベントで、趣味が高じたものです。Living Historyは教育的見地から価値が高いと考えています。学生たちに歴史を学ばせる或いは一般の方に歴史を伝える方法は、読書、ポッドキャスティングなど様々あります。その中でLiving Historyにより歴史を学ぶことの利点は、そのアクティビティによって五感で歴史を体感できることです。より多くの情報を与える、判りやすく理解いただけるということだと思います。私は日本映画「七人の侍」の大ファンです。あの町並みで刀や槍を見たら、自分は絶対に感動します。博物館では、資料や展示物を見学するだけというよりも、当時のスタイルでパフォーマンスする人がいるというのは絶対に良いと思います。

当博物館ではリナクトメント以外にも複数のLiving Historyプログラムを実施しています。プログラムの参加料を収受し、その参加料でプログラムにかかるコストを基本的に賄うようにしています。子供たちに人気があるものは、昔ながらの牛乳からのバター作りです。瓶にミルクを入れて長い時間をかけて振る、そしてバターができるというところで子供たちは目を輝かせます。当時の手法で自分がバターを作れるということに驚き、また15歳で戦争に出た事実に驚き、このように子供たちに感動を与えながら歴史を学ばせるようにしています。
- さて、ここではLiving Historyプログラムの開発に当たりどのように史実にこだわっているのですか?
例えば、当時の衣装作成において昔の技法によりミシンを使わずに手縫いにしています。そのためにはリサーチ、多くの時間と多くの労力をかけます。南北戦争の時代は、日本の長い歴史からすると時代の浅いものであり、当時の資料等も現存しています。

当時の衣装は子供サイズのものも作っています。家族客には子供に当時の服を着せての写真撮影を楽しんでもらいます。その感謝の意から寄付いただくこともあります。来訪者を楽しませるというのもとても重要だと思います。

アメリカの寄付の文化について

転じて、館長からは博物館運営のために寄付が重要であるとの話があった。アメリカ社会は寄付の文化が根付いており、寄付、慈善事業、ボランティア活動に熱心な人が多い。
ここではスポンサーシップとしてのギフトカード作成、地元商店や企業からの寄付、リナクトメント等のイベント時も売店出展等の様々なデモストレーションをしてもらっているそうだ。

歴史を伝える教育的価値が高いものであればこそ、人々に寄付や様々な支援をいただける施設となり得る。
歴史を伝承するコストを地域社会や多くの市民が共に負担していることを確認した。

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