LivingHistory

体験プログラム事例

石川県・金沢城/兼六園

石川県・金沢城/兼六園
「文化立県」いしかわの文化資源活用推進プログラム事業

加賀の茶道は、千利休に教えを受けた加賀藩祖前田利家や二代藩主利長により始まり、藩内に広く普及し、武家だけではなく町人にも浸透しました。歴代藩主が暮らした金沢城や藩主が愛でた兼六園の敷地内で、茶道文化が広く浸透した江戸時代前期の茶の湯を体験し、往時に思いを馳せ、加賀文化の魅力を体感していただくプログラムです。
このプログラムの実施にあたって、石川県のご担当者に聞きました。

Q.このプログラムの再現のポイントは?
石川県で茶道をたしなむ人口は1万2千人、割合では1.2%と全国トップクラス(※)であり、今なお、加賀百万石が培った文化が脈々と息づいています。加賀の茶文化の特徴は、町人にまで広く浸透したという点にあります。
今回は、茶の世界で師範として活躍されている先生をお招きし、茶文化について分かりやすく解説していただくとともに、加賀藩が誇る文化を連綿と受け継いでいる高名な作家の茶碗や釜も披露しました。
また、加賀藩に長く仕えた裏千家の祖である仙叟宗室(せんそうそうしつ)の高弟「朧月庵(ろうげつあん)」の日記に記された茶会でふるまわれた料理を再現することで、藩主や奥方が愛した金沢城や兼六園の庭を眺められる数寄屋でその料理に舌鼓をうって、往時と変わらぬ風情を感じていただきました。
※資料)令和3年総務省統計局「社会生活基本調査」より

Q.往時のメニューをどのように再現しましたか?
再現料理については、最初は、日記に書かれた文字を読みとることができませんでしたが、石川県立歴史博物館の協力で文字を解読しました。お品書きは文字でわかっても、今とは違う表現なので、それがどのような料理なのかについては、茶懐石に詳しい老舗料亭にレシピの考案をお願いしました。お品書きのなかには、当時、食すことを禁止されていたフグ料理を思わせるものがあったり、お品書きから実際のレシピを考案する推理のプロセスも興味深い内容になっています。
Q.今後のLiving History促進事業でのポイントは?
今回のイベントでは、名だたる方々に講師をつとめていただき、モニターとしてご参加いただいた旅行会社様からは、特別感のある体験プログラムであると好評の声をいただきました。一方で、回数を多く設定する場合、いつもそのような方々をお招きすることは困難です。もっと通常的に実施できる内容に調整し気軽に参加できるようアレンジをする想定です。本年度、金沢中央観光案内所の設置や、新たな回遊ルートの形成により、兼六園周辺の文化ゾーンでは街歩きの魅力がさらに向上します。その動きと同調し、ガイドツアーなどの方向で本プログラムのブラッシュアップを図ります。

実施概要

事業名
加賀百万石の歴史・文化ガイドツアー
実施日時
令和2年3月19日(木)
午前10時~午後13時00分
主催
石川県
定員
各回14人 旅行会社や国際交流員を招請
開催場所
茶の湯体験:玉泉院丸庭園 石川県金沢市丸の内1-1(金沢城公園内)
墨絵体験:五十間長屋 石川県金沢市丸の内1-1(金沢城公園内)
食談義:時雨亭 石川県金沢市兼六町1-5(兼六園内)
プログラム概要
茶の湯体験
裏千家教授 大島宗翠氏
加賀藩前田家の文化奨励策により発展した茶文化。往時の茶の再現や解説による加賀百万石の茶の湯を体験。

墨絵体験
九谷焼「竹隆窯」北村隆氏
加賀藩前田家の文化奨励策により発展した茶文化。往時の茶の再現や解説による加賀百万石の茶の湯を体験。

食談義の湯体験
金城樓5代目社長 土屋兵衛氏
茶事の一つである茶懐石の体験。往時の食文化の再現や解説による食談義。

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